パパーノなんなんでしょう

No.3
2003/3/2

For you better start swimmin' or sink like a stone.
For the times they are a-changin'
(Bob Dylan,"The Times They Are A-changin'")

今回のなんなんでしょうは、ハリー・ポッターからです。
(J.K.Rowling,"Harry Potter and the Philosopher's Stone",Bloomsbury(1997)


おいしいかもしれない話

(1)英語ができないと昇進できない

という人事方針がある会社はかなり多いのではないか、と思います。私の勤めている某電器メーカも、 昇格前の研修のメニューに2回ものTOEIC受験が入っていて、ある点数以上とれないと、昇格は見送り ということになっています。それなら、現主任以上で、英語ができる人がどれだけいるねん!と言いたくもなるわけですが、 ま、昔に昇進した人はラッキーだったということになるようです。この厳しい時代に、これから、どうなるかわかりませんけどね。
 みんな首を洗って待っとくように、なぁんて言いながら人事の課長以上は今、陰で一生懸命、 英語を勉強していることでしょう。従業員に研修を義務づけるのなら、自分ができなければいけませんからね。 しかも、将来、英語のできない人間を降格する、場合によってはリストラする、 と言い出したときに自分がリストラされては困る、ということは、人事畑の課長、部長クラスが 英語に自信を持つまでは、社員の英語に対する要求も今の程度で済むと、私はニラんでいます。 技術部門の我々に課す語学研修も自分たちが受けるためだったりして(人事が率先して参加する、って大義名分もたつしね) って、冗談です、冗談、こんなこと書いているからってリストラしないでちょうだい。

(2)ところで

私は、この1ヶ月「ハリー・ポッターの賢者の石」の原書(ペーパーバッグ版)を買ってきて読んでいます。 ハリー・ポッターは評判の映画ですから、子供と家内が見たがったので、去年と今年としっかり見ました。 正月に公開しているというのが、いいですね。私はあまり映画を見ないほうなので、批評眼がまったくなっていない わけで、たいがいの場合、楽しみもお高い生ビールのみ、なのですが、手に汗にぎって、 結構楽しんで見ることができました。大抵の他の映画と同じように、原作の本のほうが面白いという人も多いようなので、 一度、読んで見よう、どうせ読むなら英語の勉強がてら原書で読もうか、と思っていたのです。 で、この間、書店で、見かけたときに、「イギリスへ抽選で行ける」という帯にひかれて買って読み始めたわけです。

(3)そんなにおいしい話があるわけがない

買って帰ってよく見たら、福島県にある「パスポートのいらないイギリス・British Hills」に抽選で行ける、という キャンペーンだったのです。ここは、ハウステンボスや、志摩スペイン村などのレジャーを主目的としたところではなく 引用すれば、曰く、「種々のレジャー施設を活用し乍ら「言葉と文化」を結びつけて国際社会にリーダーシップを発揮出来るような 研修を行うのが、このブリティッシュヒルズの狙い」だそうです。これなら、確かに、USJに押されて経営が苦しくなったり 不況の波をかぶってつぶれそうになることはないでしょう。ちょうど、今日、(2003/2/26)日経のHP(Nikkei NET)に 「ハウステンボス、会社更生法を申請――負債総額2289億円」 って記事が出ているのを見つけました。寂しいタイムリーヒットです。

(4)閑話休題

ハリー・ポッターですが、映画を見ているので、大体のストーリーと登場人物とその雰囲気はつかんでいます。 また、子供向けの本なので文体は平易ですから、なんとか一日平均8ページのペースで読めます。もうすぐ終わりそうです。 おいしそうな話もありました。新入生の歓迎パーティーの雰囲気もとてもいいです。
 ローストビーフ、ローストチキン、ポークチョップ、ラムチョップ、ソーセージ、ベーコン、ステーキ、 ボイルドポテト、ローストポテト、チップス、プディング、豆、ニンジン..
   ん?
 でも、ソーセージにベ−コンとか、考えてみればあまりゴージャスではないですよね。だってさ、ジャガイモなんて 茹でたのと焼いたのと、揚げたのと3種類ですよ。豆やニンジンって、調理の仕方まで書いてあるジャガイモの書き方から比べると、 なんか、そのまま、ごろっと出ている感じで、ウサギのえさかって感じがしてきます。きっと、切って茹でたヤツが 湯気をたてて盛ってあるのか。あらためて、見てみるとなんか、ビーフもチキンも、骨付きポーク、骨付きラムにしたって あんまり手をかけた料理じゃなさそうですよね。 それにしても、魔法で出現する料理なんだから、 もっと世界各国のご馳走が出てもいいんじゃないのか、なんて考えはじめてしまうわけです。
 学生だから贅沢は許されないのか。
 なお、「チップス」が揚げたジャガイモのことで、ハンバーガーショップのフライドポテトつまりはフレンチフライの ようなものらしいです。
このことに気づいたタネをあかすと、ある本を読んだからなのです。

(5)「イギリスはおいしい」

(林望、文芸春秋社(1995))という文庫本を読み始めたら、これがまた面白くて昨日今日で読んでしまいました。 イギリスの食事がいかにまずいか、また、「ある意味で」いかにおいしいか、イギリスを愛する著者が書く 抱腹絶倒のエッセーです。
 イギリスの食べ物について、かなり詳しく説明してあるのですが、それによれば、 上に引用したソーセージとかベーコンが日本で売っているそれらとはだいぶ異なるらしいことがわかります。 どんなものか、詳しくは買って読んでみてください。ハイテーブルとか、ガウンのこととか、 ケンブリッジ大学の話を読んでからハリーポッターを読み返してみると、なるほど、 なるほど、ディテールがより一層わかった気になること請け合いです。
 まあ、イギリス人にしてみれば、「料理なんてものに大切な時間や神経を浪費するなんてばかばかしいわ」(林、前掲書P.25) っていうことなんだろうけれど、じゃぁ贅沢なのは量だけかい、と思って読んでみれば クリスマスで出た料理が、"A hundred fat,roast turkeys,mountains of roast and boiled potatoes.."だって、ちゃんと、 「山盛り」って書いてある。しかも、またしても茹でたジャガイモと焼いたジャガイモ..。


林望の本というと「日本語の磨きかた」(PHP研究所(PHP新書),(2000))も大変面白く読みました。 これを読むと、私の文章がまったく素人で、てんでなっていないことも よくわかるわけで、

日本語もロクにできねぇのに英語なんてできるわけねぇよ

と、ひとりごちて、またしても締め切りをとうに過ぎている社内向け論文の英語要約と格闘するのであった。 やっぱり、学生のときにしっかり勉強しとくんだった..。


4コママンガ<ハムとラン> とキャラのページ
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